Q
美容師のA氏は、8年間店長として現在の店舗に勤めてきたが、3月いっぱいで他店に異動することになった。美容師としての腕もよく、誠実な接客をするので、A氏を指名するお客さんがたくさんいる。そこで、長年、自分の顧客として来てくださった方には、3月末の異動を伝え、挨拶するようにしてきたが、他のスタッフが対応してきたお客さんにも挨拶すべきかどうか悩んでいる。店長なのだから、どのお客さんにも挨拶すべきだと思う一方、「他のスタッフは自分の振る舞いをどう受け取るだろうか、お客さんを異動先の店に誘おうとしていると勘違いされないだろうか、誤解されるのは嫌だなあ」と、不安な思いが出てきて、心が決まらないのである。些細なことのようだが、A氏は悶々としている。こんな状態を引きずるのはよくない。どうするのがよいか、タロットに相談することにした。
S・A氏 40代 埼玉
A
(1)現状
現状 |
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①現状には「13」Rが出た。逆向きの絵柄から、A氏は、黒い土が上から覆いかぶさるような重苦しさを感じ、今の自分の心の中は、まさにこんな状態であると思った。正立であれば、鎌を使ってもやもやした重苦しさを断ち切り、前に一歩踏み出せるのに、いろいろな不安や妄想にとらわれてしまって、心を切り替えることができないでいる。異動まであと1か月余り。8年間の勤務の最後の大切な時期で、しかも店長という責任ある立場なのに、これではいけない、一刻も早く解消しなければならないと思った。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「審判」で、天使がラッパを吹いている。A氏は、すぐに異動の通達のことであるとわかった。この度の異動は、A氏のこれまでの仕事ぶりを見ていた社長が、業績が低迷している店舗の立て直しをA氏に託したいと思ってのことだった。思慮深い社長は、異動先の店舗の事情を考え、A氏に、店舗のNo.2の肩書を与えた。A氏も、右側の人物のように、社長の意図を理解し、頑張るつもりでいる。カードは正立なので、この度の異動命令は、A氏にとってよき知らせと言えるだろう。
(3)展望
③展望に出たのは「神の家」で、この建物は異動先の店舗が入るビルにそっくりだ。A氏は、2人の人物に着目した。逆立ちする人物(自分)と建物から身を乗り出す人物(異動先の社員、店長?)に見える。絵柄から、A氏は新しい店舗で歓迎されると確信が持てた。また、カードは正立なので、A氏が加わることで、店舗の業績は少しずつ積み上がっていくと思われた。
(4)
④「13」Rの対策カード「節制」は、救済の天使をあらわしている。A氏は、この絵柄の中に自分の果たすべき役割を見た。落ち着いて考えれば、店長の自分以上に不安を感じているのは、店で一緒に働いているスタッフたちなのだから、まず彼らの不安を拭うことが必要であると思った。スタッフたちは、「一般の(A氏を指名しない)お客さんたちにも、A氏が異動の話をすれば、店の顧客が引き抜かれてしまわないか」と不安に思っているのかもしれない。A氏にそんなつもりはないのだが、業界では起こりうるトラブルだ。そんな不安を吹き飛ばす気遣いや声掛けを、まず、スタッフたちにしようと思った。そして、お客さんとスタッフの関係を取り持つような心遣いを積極的にしていこう。そうすれば、スタッフも安心し、A氏自身も心のもやもやが解消すると思えた。
(5)
⑤「節制」の注目カードは「太陽」である。A氏は燦燦と輝く太陽の晴れやかさを感じながら、2人の人物の様子に目を留めた。右側の人物(A氏)が左側の人物(スタッフ)の肩に手をかけ、「店長としてこの店にいる間は、来てくださるお客さんがこの店のファンになるよう、最善を尽くすから、皆も安心して。店のお客さんを一人でも多く作っていこう。」と、励ましているように見える。A氏がこうした働きかけをするなら、スタッフは安心して仕事に打ち込めるようになり、雰囲気も明るく信頼に満ちたものになるに違いない。そうなれば、A氏がお客さんにどんな話をしようが、何の心配も起きようがないと思えた。
アドバイスカードの「教皇」は、社長である。社長は、いつも複数の店舗の業績に目を配りながら、従業員の力量や特性をよく観察して、適材適所で業績改善をめざしている。A氏は、これまで美容師としての成果や自分の担当店舗内のことに情熱を注いできたが、異動を機に、仕事に向き合う意識を一段高くし、会社全体の発展を考えた発案・行動ができる自分をめざしていこうと心を固めた。
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