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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第375回 仕事に必要なレッスンは、収支が厳しくても続けるべきか。

Q

Kさんは、約30年、アナウンスの仕事を続けてきた。しかし、コロナ禍で、イベント等の需要が激減し、Kさんが引き受けた仕事も僅かになっている。今後も沢山の人が集まるイベントは、開催が難しそうだ。きっと、仕事の依頼も少ないだろう。でも、どんなに仕事が少なくても、プロに必要な訓練は普段から欠かせない。Kさんも、自分の技量維持の為に、アナウンスレッスンを月2回受けてきた。レッスンはマンツーマンで、とても充実しているものの、レッスン費用もそれなりにかかる。必要経費だが、仕事があるかないかの今は、その費用が重く感じられ、最近は足が遠のきがちである。長年レッスンでお世話になっているトレーナーは、休んではダメ!と叱咤してくれる。今年の収支は赤字になる可能性が高い。それでもアナウンスレッスンを続けていくべきだろうか。タロットに相談することにした。

                                                                                                                                                                                                                          E・Kさん 50代 東京

A

(1)現状
現状
①現状は「皇帝」が逆向きで出た。Kさんには、一目瞭然だった。アナウンスレッスンを受けていない今の自分の姿だ。頭では、レッスンを受けて練習したほうがいいことは十分わかっているのに、収入より出費が多くなることに気を取られて、レッスンに行きそびれてしまう自分。Kさんは、逆向きカードから、「プロの仕事をするつもりなら、こうした心構えではだめだ」と指摘されたようで、ドキッとした。

(2)経緯
経緯 現状
②経緯は「宙吊り」である。Kさんは、これまでの確固たる自覚を持った自分を見る思いがした。それなりに仕事をこなし、プロとしての信念があったのである。「いつでも準備をしておかなければ、仕事の依頼が来た時に上手く出来ない。仕事があるか無いかに関係なく、自分がいつも準備できているかが大事」との思いから、月2回のレッスンを重ね、いつでも依頼を受けられるようにしていたのである。Kさんは正立カードから、自分の仕事は、この職業魂に支えられていたことに気づいた。

(3)展望
経緯 現状 展望
③展望は「戦車」Rで、 母馬と子馬が目に入った。子馬が「練習しても、仕事がなければ、お金にならないでしょ!」と欲望を主張するのに対し、母馬は「練習を続けなければ、技量はさびるばかり。プロなら、練習を止めてはダメ!」とたしなめているように見える。Kさんの中では相反する2つの声が聞こえ、気持ちがまとまらない。でも、このまま練習をしなければ、やがて自分の職業人生に悪影響が出てくることも容易に想像できた。

(4)
経緯 現状 展望
    (4)
④「皇帝」Rの対策カードは「仕事師」。まさに人前で話すことを仕事とし、人をなごませたり、楽しませたりしている。Kさんは、カードを見ているうちに、世の中にはいろいろな仕事があるが、話すことでお金をいただけるなんて、希少価値のある仕事ではないかと、思えてきた。だからこそ、プロとして仕事をする為の努力が、常日頃から必要なんだと、かつての信念が戻ってくるようだった。

(5)
経緯 現状 展望
    (5)  (4)
⑤「仕事師」の注目カード「正義」では、縄のネックレスに目が留まった。Kさんは、仕事をする上で大切に守ってきた自分なりのポリシーを思い出した。そうだ、自分は報酬の多寡に関係なく、技術が低下しないよう最低限の努力をするのはプロとして当たり前と、いつも思っていた。どんな時もこの清廉な気持ちで仕事に向き合うのが、自分らしい。

(6)
経緯 現状 展望 (6)
 
     (5)     (4)
⑥「戦車」Rの注目カードは「太陽」。アナウンスレッスンは、1時間くらい立ったまま、本番さながらの練習をするので、マンツーマンの練習風景だろうか。練習を受けに行くKさんが左側の人物、迎え入れてくれる右側の人物がトレーナーと見ることができるが、Kさんは、2人とも自分のことのようにも思った。足に持病があるKさんにとっては、かなりきついレッスンになるので、現実の自分は、左の人物のように足元がふらつきへとへとになるが、本来の自分は、右の人物のように、プロならこれくらいはやったほうがいいと、現実の自分を激励するからである。いずれにしても、レッスンを受けることは、Kさんにとってよいことだと納得した。

(7)
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     (5)      (4)      (7)
⑦「戦車」Rの対策カードは「力」が出た。少女はKさん自身である。ライオンを手なずける姿から、「アナウンスレッスンはきつい、出費がかさんで赤字になるのは辛い、やめれば楽になる」といった自分が作り出す言い分を手なずける必要があると痛感した。

(8)
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⑧「力」の注目カード「運命の輪」の回り続ける車輪を見たKさんは、レッスンを続けようと一層心が決まった。続けて備えができていれば、仕事が来た時もスフィンクスのように落ち着いていられる。そうでなければ、焦るばかりで空回りするだけだ。

アドバイスカードも「仕事師」である。話す仕事の世界では、練習でできていないことは、本番でも無理だと言われている。考えてみれば、レッスンを続けることは、50代になっても自分を使ってくれるクライアントへの最低限の礼儀でもある。クライアントの信頼を踏みにじってはいけないと思った。Kさんは、自身のパーソナルカード(宙吊り)とソウルカード(戦車)の両方が展開で出てきたことで、アナウンスレッスンが、今後の人生においても必要なことと感じた。

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