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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第374回 様々な年代の方が集う勉強会へどんな姿勢で臨むべきか。

Q

Mさんは、この数か月のところ、精神世界の講義や勉強会に参加する機会が増えた。その場には様々な年代や立場の方々が集まり、しばらくは新鮮な気持ちで楽しんでいたが、最近になって自分はその中でどうふるまうべきかを考えるようになった。というのも、Mさんの参加する講義や勉強会に参加する方の多くが自身より年長者であり、その考え方や抱える問題も様々だからである。Mさんは、自身にとって大切なことを勉強しに来ているという思いが強い為、積極的に参加し、質問や意見もどんどん交換していきたい気持ちで臨んでいるが、こうした自分の参加姿勢でよいのだろうか、自他ともに充実するために気を付けるべきことがあるのではないか、その点をタロットに聞いてみることにした。

                                                                                                                                                                                                                          K・Mさん 20代 神奈川

A

(1)現状
現状
①現状に出たのは「宙吊り」である。Mさんはこのカードを見て、やはり今までのように積極的に発言していく姿勢よりは、この宙吊りのように一歩立ち止まる姿勢が良いのだろうと思った。講義の中で不明点を質問したり確認したりすることはありうることで、こうした発言は内容を理解するうえで何ら問題ないし、他の受講生に役立つことも多い。でも、精神的世界の探求においては、論じたところですぐに答えを得られるものでもない。言葉などの表層に表れない世界に関することについては、この宙吊りのように内省し、保留にしておくという姿勢がより相応しいのだと思った。

(2)経緯
経緯 現状
②経緯は「斎宮」。このカードの女性も、ヴェールに包まれ静かに内省しているように見える。これまでは能動的に参加し、理解しようと意気込んでいたMさんだったが、わからないことも受け入れ、立ち止まる受動的な姿勢こそ、実はこの学びを真に受けとる為に肝要な態度であったのだと、カードに教えられたように感じた。「斎宮」は「宙吊り」と親縁している部分が多いので、カードが言わんとすることは、Mさんの心に強く響いた。

(3)展望
経緯 現状 展望
③展望には「星」が出た。Mさんは、溢れる水瓶を持つ女性に注目した。内側からどんどん溢れる様を見て、自分のこれまでのあり方を振り返ると、勉強会や講義では、テーマに関心が行き過ぎて、知性中心、思考力全開で臨んでいた自分が浮かぶ。積極的発言もその延長にあった。学術的な場ではその方が良いこともあるが、言葉や知識だけではとらえきれないより大きな世界の探求の場では、言外の感情や心の在り方も大切にし、思いやりや共感、受容性のある姿勢で臨むといいのだろう。そうすることで、自分の中からも智慧の豊かさが引き出せるに違いない。

(4)
(4) 経緯 現状 展望
④「斎宮」の注目カード「世界」を見たMさんは、自身や講義の参加者たちが描かれていると思った。このカードをみるに、とても調和のとれた良い関係のようだが、どうすればこのようになれるだろうか。ここでMさんは、これまで展開されたカードに空色の象徴が多いことに気が付いた。これまでの展開で、積極的な議論や早期解決よりは保留、受容、共感といったメッセージを受取ってきたが、その為には、この空色の象徴する第五元素、つまり「空」「エーテル」と呼ばれる世界が鍵となるのではないだろうか。年代や置かれる立場、考え方の違いはあるだろうが、違いばかりに着目しては、何も生み出さない。それを超えたより深いところでの交流ができれば、違いがあっても分かり合えるはずだ。

(5)
(5) (4) 経緯 現状 展望
⑤「世界」の注目カードは「正義」R。Mさんは、このカードを展開してすぐに、これは自分だと思った。考え方の違いから、「それは違うのではないか」と思ったり、「どこに話の要点があるのか」などと考えたりして、相手を判断しがちであった自分と重なるように思った。また、今まで知識として学んできたことと、新しく学んだことに齟齬があると、「ここはこうではないのですか?それは何故ですか?」といった質問をすることも度々あった。「正義」Rは、それではいけないと指摘する。Mさんも、自分の未熟さを反省した。逆向きのカードはこのカードだけであることから、より強調されたメッセージと受け止めた。

(6)
(5) (4) 経緯 現状 展望
 
     (6)
⑥「正義」Rの対策カードは「隠者」である。Mさんは、知的世界の理解・習得というより、本物の智慧を身につけるための学びのために、勉強会に参加していることを再認識した。焦らずじっくり時間をかけて探求している老賢人の姿も、Mさんの心に残った。智慧の探求は人間の持つ力を総動員して行うもの、頭だけで性急に進めるものではないと思った。

(7)
(5) (4) 経緯 現状 展望
 
    (7)     (6)
⑦「隠者」の注目カード「教皇」からは、生徒たちが、先生を信頼の眼差しで見上げ、示される教えをしっかり吸収しようとしている様子がMさんの目に留まった。そうだ、大切な教えを学び取るには、受容する姿勢で臨むことだ。自分の先入観やこだわりがあると、教えの理解も他者との交流も中途半端となってしまう。自分の心の在り方が、気づきや充実度に大きく影響するのだろう。ローマ数字のⅤの形も印象的で、受容することの大切さを示唆しているように思われた。

アドバイスカードは「隠者」である。対策カードとしても出てきたが、これからは言葉や知識のみに依らない本物の智慧のため、上から受け取るという謙虚な姿勢で学んでいくべきだと思った。その為にはカードの展開で示されたように、受け容れ、立ち止まり、保留にし、内省するといった態度に、自らを変容させていこうと、心が決まった。

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