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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第327回 認知症になりかけている父にどう向き合うとよいか

Q.

H氏の父親は、先祖から受け継いだ家業の呉服屋を、ずっと続けている。今の時代に、自営で呉服屋を続けるのは本当に大変なことである。父親は典型的な職人気質で、仕事は丁寧であるが接客が苦手で、そこを、社交的な母親が全面的に前に出て補ってきたから、家業を存続できたと言えるかもしれない。その父親が、認知症の症状が出始めたようで、最近、素振りがおかしいと、母親がH氏に言ってきた。以前にもその気配はあったが、今度は症状を感じるという。H氏は、同居しているものの、いつも仕事で帰宅が遅いので、父親と顔を合わせることがあまりない。もともと、H氏には父親に対しての苦手意識もあり、父親にどう接したらいいのか、わからないでいる。しかし、反りが合わないからといって、何もしないうちに、父親の症状がどんどん進んでしまったら、絶対に後悔することは目に見えている。なんとか距離を埋めるきっかけをつかみたいと思って、タロットを展開することにした。

I・H氏 40代 埼玉

A.

(1)
現状

①現状は「愚者」が正立で出た。H氏には、少し認知症の症状が出始め、何をするにも、心もとなくなっている父のように見えた。母によれば、最近の父は、一度やったはずの作業を何度も繰り返そうとすることが多くなったという。でも、H氏が絵柄の中に見たのは、衰えた父の姿だけではなかった。愚直に家業に向き合ってきた父の心意気も強く感じたのである。そもそも、商売センスのある伯父と職人気質の父が一緒に受け継いだ家業であるが、伯父は早くに亡くなってしまった。その後は、母の協力を得て、なんとか営んできた。決して商売上手ではない父が、これまで呉服一筋でやってくることができたのは、ひとえにこの愚直さのおかげだったかもしれないと、H氏はしみじみ思った。空色の犬は、きっと妹だろう。一人暮らしをする妹は、いつも父や母にメールをし、何かと気遣っている。H氏と違って、父とも仲がよい。H氏は、自分が父親に直接何かをするというより、妹に事情を話し、積極的に父の心に寄り添ってもらうのがいいと思った。

(2)

経緯 現状

② 経緯の「宙吊り」も正立。H氏は、自分の姿であると思った。昔から父には苦手意識があり、いつも少し距離を置き、父は父の世界、自分は自分の世界の中で過ごしてきたように思う。これまで、父のことで母が心配することがあっても、自分から父に何かをすることは、まずない。母の相談に乗り、間接的に関わるだけだった。決して褒められることではないが、カードは正立なので、今までは、それでもよかったのかもしれない。

(3)

経緯 現状 展望
     

③展望は「斎宮」。母である。母は、父の一番近くで家業を支えてきた人であり、父の一番の話し相手、一番信頼を寄せる存在である。父の性格を知っているので、あまり干渉はしないが、斎宮のように、静かに温かく見守っている。H氏は、このカードからも、自分が直接、父に何かをするというよりは、母を介して間接的に接していくのがいいように思った。

アドバイスカード「節制」は救済の天使であるので、父の心身の安定・安らぎに役立ちそうなことは、母に積極的に提案し、協力していこうと、H氏は心を引き締めた。もう一つ、水を交わす壺を見て、ピンときたことがある。H氏は、家業を継ぐことはないが、呉服の世界に関わる仕事は、やはりいつかやりたいと思っている。父は60年近く呉服の世界に生き、また、先代から知識や技を受け継いでいるので、本来ならH氏の師匠にぴったりなのは、父である。しかし、面と向き合うとどうしても衝突してしまう。この点も、母を介してなら、少しずつ受け継いでいけそうだ。間接的であれ、やがてH氏の気持ちが父に伝われば、喜んでくれるに違いない。H氏は、先送りしないで、まずやってみようと、心が決まった。

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