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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第472回 実家の兄から、母の遺品整理のことで相談を受けた。

Q

Nさんは、実家の兄から母の遺品のことで、相談を受けた。実家は、両親が旅立ったことで、父の代から兄の代になり、それを機に、兄夫婦が中心となって、母屋や倉庫にあったものの整理をしてきた。田舎の古い家なので、長い間収納したままになったものがたくさんあり、兄たちは苦労して仕分けと整理を進めてきた。ところが、片づけの最終段階に来て、母が遺した着物をどうするかで、大いに迷うこととなった。その中に、何十年も経つのに、新品と見違うほど傷みのない着物や、紋の入った着物を見つけたからである。母想いだった兄は、妹のNさんに「どうしたらいいと思う? そのままにしておくのはどうかと思うけれど、処分は気が引ける。そんなことをしたら、後で寂しく感じると思う」と言ってきた。Nさんもせつなくなり、「私のところへ送って!私の手元に置くのが一番いいと思う」と、返事をした。Nさんは、これでよかったと思っている。でも、実際に手元に届いて、どうするか当てがあるわけではない。そこで、思いのこもったものを引き継ぐにあたって、どう向き合うとよいか、指針を得るためにタロットを展開することにした。

                                                                                                                                                                                                                               K・Nさん 50代 東京

 

A

(1)現状
  現状
①現状には「斎宮」が出た。Nさんにはすぐにこの人物が誰かわかった、母だ。Nさんの母は、先祖を大切に思う人で、信心深かった。まさに斎宮のような人だった。愚直で、不器用な面もあったが、Nさんは、そんな母が大好きだった。斎宮が身に着けている装束は、着物のように見え、カードは正立なので、「自分が母の着物を引き取る!」と兄に言ったことはよかったと思った。

(2)経緯
  経緯   現状
②経緯は「悪魔」である。中央の悪魔は母、下の小悪魔は兄と妹のNさんだ。母を見上げ、緩やかにロープで自分たちを繋ぎとめている様子から、二人は、母亡き後も、母を大切に思っていることがわかる。現状の「斎宮」の視線も経緯の「悪魔」に向けられているので、こうした関係が続いていることを、きっと旅立った母も喜んでいるに違いない。Nさんは、絵柄を見ていて、母の遺品はお互いの思いを繋ぐ縁(よすが)となると思った。

(3)展望
   経緯    現状    展望
③展望は「皇帝」で、皇帝の視線もまっすぐ斎宮の背中に向けられている。Nさんは、母の遺品である着物を引き取ることは、母の思いを受け取っていくことでもあると思った。何十年も経ったものであるし、今のNさんのライフ・スタイルにそのまま取り入れたりするのは現実的ではないが、実用的なものに作り変えて、愛用していくことならできそうだ。具体的にどうするかは、兄から送られて来てからのことであるが、皇帝は、実際に行動して現実化していく人であるから、Nさんもこの姿勢に倣おうと心を決めた。

アドバイスカードは「世界」。Nさんは、すべてが収まりどころを得て、誰もがよかったと喜び合っている様子を思い浮かべた。葉っぱでできた空色のリースを見ていると、物自体は年月とともに劣化していくが、物に託された思いはずっと存続していくと思えてくる。ネットで調べてみると、古くなった着物のリメイクの店も増えていることがわかった。専門家に相談すれば、可能性も広がって自分なりの活かし方もきっと見つけられると思った。

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