Q
Kさんは助産師をしている。自分に合っている職種だが、体力的にはきつい仕事である。現在の勤務先は65歳が定年で、そこでは再雇用制度がない。Kさんは元気なうちはできるだけ長く働き続けたいと願っているので、定年後の仕事は自分で探さなければならない。定年後も助産師を続けるのがいいか、あるいは、思い切って他の仕事をしてみるのがいいのかについても、実は、迷いがある。65歳の定年はまだ先であるが、今から心づもりをし、準備をしておかないと、定年を迎えた時、慌てふためきそうである。そこで、Kさんは、タロットを展開して、仕事の方向性について指針を得ることにした。
T・Kさん 60代 神奈川
A
(1)現状
現状 |
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①現状には「世界」が正立で出た。カードを見るなり、Kさんは現在の自分の状況をよくあらわしていると思った。職場の人間関係は良好で、仕事も充実している。中央の人物は自分で、これまでたどってきた道のりを満足げに振り返り、やり遂げた達成感を味わっている。体力的なきつさはあるが、心の中の自分は「助産師をしてきて本当に良かった!」との思いがあるのである。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「節制」Rで、Kさんは二つの壺を見て、仲間内で意思疎通がうまくいかず苦労した時期があったことを思い出した。助産師の仕事はチームで行うので、お互いの意思の疎通をはかることが大切であるから、うまくいかないと途端に緊張が走る。仕事に悪影響を及ぼさないよう、ずいぶん神経をすり減らした。その時は、自分の未熟さもあって十分な対応力を持つことができなかった。
(3)展望
③展望は「斎宮」。静かに過去を振り返っている。分厚い本を手にしているが、それはこれまでの長年の経験で得た知識やノウハウの蓄積をあらわしているようでもある。Kさんは、この絵柄を見て、定年後も、これまでの経験を活かした仕事をするのがいいと思った。性格的にも、好奇心旺盛で新しいことに挑戦するタイプではなく、何事も慎重で熟慮してから行うタイプなので、思わず納得した。
(4)
④「節制」Rの対策カードは「教皇」が出た。中央の教皇と手前にいる枢機卿は、勤務先の上司とそのもとで働く自分たちである。相談した上司からの助言は、職場でのちょっとした人間関係の悩みを克服する力となり、おかげで職務に励みながら、職業人として成長していくこと機会となった。組織にいるからこそ、上下左右の人間関係の中で成長でき、経験を積み重ねることができる。今の職場で身につける仕事のスキルや、円滑に交流するコミュニケーション能力は、きっと定年後の自分を活かす力になるに違いない。
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⑤「教皇」の注目カードは「宙吊り」である。この人物が、手を後ろにして不動の姿勢を取っているのを見たKさんは、「新たなことに手を出さず、そのままでいなさい。今まで培ってきた助産師としての技量を活かして行きなさい」とのメッセージを受け取った。腑に落ちるメッセージだ。
アドバイスカードは「悪魔」。Kさんは、悪魔と小悪魔を繋ぐロープに着目した。ロープは緩やかで、ロープで繋がれる両者も余裕が感じられる。定年後は、無理のない範囲で、これまでの経験を活かした仕事をしていくのがよいと確信できた。今の職場での日々を、今まで以上にかけがえのないものとして勤め上げていこうと思った。
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