第429回　通っていた伝統芸能の稽古が再開した。また始めたいが。 : イシス学院

第429回　通っていた伝統芸能の稽古が再開した。また始めたいが。

Q

コロナ禍が騒がしくなるまで、Uさんは伝統芸能の稽古で近所の神社に通っていた。全くの新参者であったが、指導者のおかげで初級レベルまではなんとか到達することができた。しかし、コロナ禍で教室がお休みとなってしまい、やっと今年の春に再開することとなった。朗報であったが、その間にUさんは仕事や家事で担う役割が大きくなり、日々それらをこなすのが精一杯で、いまだ始めることができないでいる。稽古に参加する意思はありますと言ったものの、「稽古を再開して、ちゃんと仕事や家事とのバランスを保っていけるだろうか」、「忙しくなって、心の余裕を失うことにならないだろうか」、「いったん稽古を再開したら、やはり両立は無理だと、すぐに音を上げるようなことはしたくない」など、さまざまな思いが心の中で錯綜して、決められない状態をずるずると引きずっている。これではいけないと思い、タロットで自分の心を整理することにした。

　　　　　　S・Uさん　50代　東京

(1)現状

現状

①現状に出たのは「太陽」Rである。Uさんは、心の中に2種類の自分がいると思った。一人は、尻尾があり、目先のことが気になって惑わされてしまう未熟な自分、もう一人は、落ち着いて本質を見失わない真の自分であるが、カードの逆向きが示唆するように、両者の力関係が逆転して、未熟な自分に振り回されているように感じたのである。確かに、現実の自分は悩みを抱え込むことが増え、心はすっきりしない曇天のような日が多くなった。この状態では良い決断ができないのは当然だと思った。

(2)経緯

経緯	現状

②経緯は「悪魔」R。小悪魔の首にかかるロープが目に入った。これは、仕事や家事で負担が大きくなり、余裕がなくなったこれまでの自分である。物理的な忙しさもあったが、それ以上に、心の余裕を失ったことをあらわしていると思われた。心の余裕がなくなるにつれて、いつの間にか自縄自縛の状態に陥ってしまったようだ。このカードも逆向きである。今なら、絵柄の状態がよくわかるが、その時はどうすることもできなかった。

(3)展望

経緯	現状	展望

③展望には「神の家」が出た。神聖な建物であることから、すぐに神社が浮かんだ。境内にある稽古場かもしれない。稽古場では、挨拶をすることの大切さをいつも厳しく指導されているので、欠席期間は長いが、思い切って稽古の時間に行くなら、仲間が「久しぶり！」と声をかけてくれそうだ。Uさんは、絵柄を見て希望を感じることができた。

(4)

経緯	現状	展望


	(4)

④「太陽」Rの対策カードは「教皇」である。指導してくださる先生だ。稽古も礼儀作法も非常に厳しい先生であるが、数十年かけて芸を極めて来られただけあって、先生のお手本は、はっとするほど美しく、見取り稽古をする私たちはいつも目を凝らして拝見していた。もう高齢で、体の節々の痛みも抱えていらっしゃるので、いつまで指導を受けられるかわからない・・・。だったら、先生が指導してくださるうちに、稽古を再開しなければ。もたもたして機会を逸してしまったら、きっと後悔するに違いないと、Uさんは思った。

(5)

経緯	現状	展望


	(4)	(5)

⑤「教皇」の注目カードは「仕事師」。Uさんは、すぐに自分のことだとわかった。不肖の生徒でずっと休んでいるが、教皇と視線が合っているので、先生はUさんを気にかけ、待っていてくださる、少なくとも受け入れてくださると思えた。

(6)

経緯	現状	展望


(6)	(4)	(5)

⑥「悪魔」Rの対策カードは「宙吊り」で、このカードにもロープが描かれている。でも、「悪魔」Rのロープとは意味合いが違うと思った。Uさんには、「悪魔」Rのロープが自分を束縛するロープなら、「宙吊り」のロープは自分の信念や価値観につながるロープに見えたのである。Uさんは、まず冷静な自分を取り戻そうと思った。静かな時間を持ち、本来の自分になれたら、何であれきっと最適の判断ができるはずだ。

アドバイスカードは「恋人」である。Uさんは、天使の矢を見て、この矢を受け止められるようまず心を整え、それから稽古再開の日程を考えることにした。かつての仲間と再会すれば、頑張る気持ちも膨らみ、弾みがつきそうだ。久しぶりにすっきりし、タロットを展開して本当に良かったと思った。

前回のケーススタディ

（第201回～最新号）

（第82回～第200回）

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