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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第321回 生きにくさを解消するために、今、私は何をすべきか。

Q.

Nさんは、これまで長い間、生きにくさを感じながら生きてきた。しかし、精神的な学びをするようになってから、さまざまなことへの向き合い方が変わり、おかげで、心の苦しみもずいぶん和らいできた。その分、生きやすくなったと実感している。それでも、人とコミュニケーションをとるときなどには、まだ自分の中に課題を感じることが多い。少しでも解消していくために、今、取り組むべきことは何か、タロットで見ることにした。

Y・Nさん 40代 神奈川

A.

(1)
現状

①現状は、「仕事師」Rが出た。Nさんは、カードを見て、テーブルに置かれたものを手にしている人物は、自分であると思った。誰かに向き合う時、いつも適切な対応はこれかな、あれかなと思案する自分の姿と重なって見えるのである。子どもの頃、自分の気持ちや考えを素直に表現できなかったNさんにとって、人とのコミュニケーションの取り方は本当に課題である。勝手がわからないから、必要以上に、自分の表現や振舞いがその場にふさわしいかどうかが気になり、悩んでしまうのである。逆向きカードは、戸惑う自分そのままだと、Nさんは思わず頷いた。

(2)

経緯 現状

②経緯の「教皇」は、精神的な学びをしてきたこれまでをあらわしている。正立カードが示す通り、Nさんは、学ぶことで生き方が変わり、だいぶ楽になったとしみじみ感じた。ふと、授業で習った「インドラの網」のことが頭に浮かび、「あらゆることは繫がりあい、関わりあい、それは網の目のように縦横に広がっている」という話を思い出した。そして、自分が感じる生きにくさも同じで、いろいろな要素が絡み合っているのだなあと思った。

(3)

経緯 現状 展望
     

③展望は「正義」が逆向きで、真正面を直視する様子が、Nさんの印象に強く残った。問題から目をそらさないことは大切であるが、過剰になって、目の前にあるものに集中しすぎると、かえって囚われ、視野が狭くなってしまう。せっかちなNさんは、生きにくさを一刻も早く解消したいと躍起になることが、自分を追い詰め苦しくさせているのだと、気づいた。

(4)

 経緯 現状 展望
 
(4)

④「仕事師」Rの対策カードは「星」である。「星」の女性は、仕事師のように周りに気を取られることなくゆったりし、水を注ぐことだけに意識を向けている。Nさんは、壺を見ているうちに、生きにくさの改善のポイントは、頭でその場限りの対処法を考えて行うことではなく、一つのことに専念することにあるのかもしれないと思った。

(5)

経緯 現状 展望
   
(5) (4)

⑤「星」の注目カードは「力」。女の子と蜂の見つめ合う姿に注目したNさん。蜂はグノーシス、智慧の象徴。魂の深いところに直結することって何だろうと考えたとき、思い浮かんだのは、やはり今まで学んできた教えや行だった。「力」と「星」の2枚を見て、Nさんは、必要なものはすでに手元にあることに気づいた。自分がすべきは、新しい何か別のものを探すことではなく、自分が学んできたことを自分の一部にすることだ。でも、それはじっくり向き合わないとできない。

(6)

経緯 現状 展望
   
(5) (4)  (6)
⑥「正義」Rの対策カード「宙吊り」も、静かに瞑想している。関心は外の世界ではなく、自分の内側に向けられている。いつも目に見える変化を性急に求めてしまうNさんは、タロットから、「動じないで、もっとゆったりと構えなさい。現実の中で理由をつけて、表面的につじつまを合わせようとするのは卒業して、もっと自分の内側を整えよう」と、言われた気がした。Nさんは、思い当たることが多々あり、納得であった。 アドバイスカードは「節制」。Nさんは、節制の天使が手元を全く見ていないのを見て、はっとした。集中は、自分の目の前ではなく、高い視点から見て必要なことに振り向けるべし。その通りだ。肩の力を抜いて、もう一度学んできたことをやり続けようと、心が決まった。 前回のケーススタディ
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