Q
Mさんには、いつか実現したい夢がある。それは、飲食店を経営し、その一角に、お客さんの相談に乗る場を作り、人助けをしたいという夢である。長年、いくつかの占術を学び、研鑽を積んできたが、占術そのものを仕事にすることに抵抗があり、そこで考えたのが、自分の飲食店を持ち、その中で学んできた占術を活かすというスタイルである。そのためには、店を持つことの勉強や現場の体験も必要だ。そう思いながら、ネットでアルバイト募集を検索していくうちに、以前から素敵な雰囲気の店だと思っていたピザ屋さんの求人広告を見つけ、すぐに応募したところ、とんとん拍子で採用が決まった。その時は、夢に一歩近づいた気がして、喜んでいたMさんであるが、ふと「大丈夫かな?ちゃんとてきぱき働けるかな?」と思った途端、心配になってしまった。そこで、タロットに助言を仰ぐことにした。
S・Mさん 40代 神奈川
A
(1)現状
現状 |
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①現状に出たのは「月」である。カードは正立であるが、全体的に暗い色調のせいか、Mさんは、少し不安を感じた。空色の犬が「しっかりやれ!ぼやぼやしないで、はやくしろ!」と、月に向かって叫んでいるように見え、「お店の人にこんな風に言われるのではないか、もし、そんなことを言われたらどうしよう・・・」と、つい心配になる今のMさんをよくあらわしている。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「戦車」が正立だ。パートの採用が決まったそのピザ屋さんは、以前、Mさんが店の前を通りがかった時に、雰囲気が気に入り、働いてみたいと思っていた店である。求人を調べたら出ていたので、すぐに応募したところ、採用もすんなり決まった。Mさんの行動力は、まさに、思い描いていたことを成し遂げた「戦車」の人物のようだ。カードは正立なので、Mさんは適切な行動をしたことがわかる。Mさんは、絵柄を見て、やはりこれでよかったのだと安心することができた。
(3)展望
③展望は「審判」Rとなった。Mさんは店に出社した時の光景を思い浮かべた。ラッパを吹いている人が店長さんで、下にいる人たちは、店長の訓示をしっかり聞いている従業員と、その中に加わった新人のMさん(空色の人物)に見える。カードは逆向きなので、現状の「月」で感じた不安の通り、Mさんは、叱咤激励や注意を、思った以上に強烈に感じて、落ち込んでしまいそうだ。飲食店の現場では、てきぱきとこなすことが必要とされるが、Mさんは新人なので、緊張してもたもたしてしまうのは当然のこと。だから、そんなに気にすることはないと、頭ではわかるのだが、容易ではない。
(4)
④「戦車」の注目カードは「愚者」である。将来は、自分の飲食店を持ち、そこで占術を使いながら人助けを!と大きな夢を描いていたMさんの心意気がよくあらわれている。そのために、飲食店で現場の修行をすべく、ピザ屋さんにパート求人募集に応募することにしたMさん。「愚者」も正立なので、この応募は、夢に向かって一歩踏み出すよい機会になることがわかる。
(5)
⑤「審判」Rの対策カードは「13」で、Mさんは、大きな鎌に注目した。黒い土の中に見えるのはぎょっとするものばかりだが、それらを刈り取ろうとしているように見える。Mさんは、絵柄を見て、「審判」Rが示唆する諸々の心配事は、自分の不安が、心の中で作り出していたものだと気づいた。ならば、自分で刈り取っていくことで解消できると思えてきた。
(6)
⑥「13」の注目カードは「恋人」」で、良好なコミュニケーションができている様子が描かれている。Mさんは、面接の時に担当者にかけてもらった言葉を思い出した。「雰囲気のよい職場なので、わからないことがあっても他の人がサポートします。大丈夫ですよ」と言われていたのだった。タロットも同じことを伝えてくれている。Mさんは、一連のカードを見て、自分の心の中にある心配を手放せば、うまくやっていけることに、心から納得できた。
アドバイスカードは「仕事師」である。テーブルの上に所狭しと並ぶいろいろなものは、これから始まるピザ屋さんの仕事場で使う道具かもしれない。Mさんは、うまく使いこなしながら、時には、マニュアルをちらりと見たり、先輩従業員に尋ねたりして、てきぱきと仕事をしていけるだろう。今回のピザ屋さんの仕事は、Mさんのゴールというよりは、自身の夢の実現の始まりでもある。夢の達成に一歩近づくのだから、小さな自分の不安など払拭して、頑張っていこうと思った。
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