Q
Kさんは、長らく朝型の生活スタイルで過ごしてきたが、ここ数年夜更かしをすることが多くなった。インターネットで気になる出来事を調べ始めると、情報がありすぎるためか、納得のいく情報を得るまでに、あっという間に時間が経って、深夜になってしまうからである。特に馴れないうちは、何をどう調べれば、自分の求める情報にたどりつけるのかもわからず、ずいぶん悪戦苦闘した。その甲斐あって、最近では、やっと、自分が本当に必要とする情報や知識を得られるようになってきた。おかげで、物事を考察する大きな視点が持てるようになり、今では本当によかったと思っている。だが、その一方で、朝型だった自分がすっかり夜型になってしまった。毎日夜遅くまで、目を酷使しながら長時間パソコンの前に座っているのは健康的でなく、そろそろ夜型の生活を見直し、もう少し健全な生活のリズムを取り戻すべきではないかと感じるようになってきたのである。でも、惰性になった夜更かしは、なんとなく思っているだけではなかなか抜け出せない。そこで、Kさんは、タロットを展開することで、心を整理し、惰性から抜け出すきっかけを見つけることにした。
N・Kさん 60代 東京
A
(1)現状
現状 |
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①現状には「愚者」が正立で出た。Kさんは、新しい旅に出ようとする愚者の姿に自分を重ね合わせて、「思い立ったが吉日」のことわざを思い出した。もともと生活のリズムを大切にしてきたのだから、ここ数年のパソコンの前で夜更かししてしまう習慣を見直すことは、それほど難しくないと思えた。年齢的に仕事に携わる時間も少なくなり、周囲に迷惑をかけることはないが、愚者のはつらつとした表情を見ているうちに、ずるずると遅寝遅起きを続ける生活は、もう終わりにしようと気持ちが固まってきた。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「戦車」だ。このカードも正立で、Kさんは、必死にいろいろなことを調べる自分の姿であると思った。情報媒体がどんどん増えるにつれ、その気になれば自分でアクセスしさまざまな情報が入手できるようになったが、まさに玉石混交で、ますます情報の発信内容やその根拠、発信者などを慎重に識別していかないと、真実に近づけないことを思い知らされた。苦労は半端ではなかったが、カードの人物のように、肩にある二つの人面も駆使して、全方位を視野に入れ、情報を識別していくことの大切さを学ぶことができた。カードの正立が示唆するように、Kさんにとって、これはとても大きな収穫だった。
(3)展望
③展望に出たのは「星」で、Kさんは、天に輝く星と身を清めゆったりとする人物に着目した。星がきれいに見える夜の時間の過ごし方は、こうあるのがよいと思った。夜型の生活になる前は、まさに絵柄のような夜を過ごしていたのだから、自分で決意すれば、難しくないのだろう。自分の年齢を考えるなら、早く整った生活を取り戻し、心身の充実を図ることは大切だと思った。
(4)
④「戦車」の注目カードは「審判」である。天上に出現した天使の姿は、多様な情報が、多方面からおびただしく発信される様子をよくあらわしている。Kさんも、多様な情報、特に海外の情報発信に目を向けることが多くなった。同時通訳や字幕がつくおかげで、内容がわかりやすく、何よりも早く実情がとらえやすくなった。もし、こうした広い世界に目を向けなかったら、狭い世界の中で悶々としていたかもしれない。このカードも正立で、Kさんは、自分に合ったインターネットの活用が、以前よりうまくできるようになった気がしている。
アドバイスカードは「斎宮」。Kさんは、自分の内面を整え、内面の豊かさを蓄える時間をもっと積極的に増やしていくことにした。インターネットのおかげで、膨大な情報や知識が入手できるようになったからこそ、それらを消化・吸収し、力にしていくには、心身を充実させていくことが大切。まず、夜の時間の使い方を変えることから始めることにした。
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