Q
Tさんは、引っ越し前に住んでいた沖縄で、マルセイユ・タロットのリーダーをしていた。クライアントさんの信頼が篤く、最初は近場のクライアントさん、やがて縁が広がり遠くから足を運んでくれるクライアントさんもできて、その頃はとても順調だった。ところが、ご主人の都合で東京に引っ越ししてからは、以前と全く違う環境で、慣れるのに時間がかかり、そのうちに体調を崩してしまったこともあって、リーディングの再開ができずにいる。早く再開したいと思い、以前使っていた幟(のぼり)を家の前に置いてみたりするが、反応がない。そのためか、夜、眠ろうとすると過去のいろいろなことが思い出され、安眠の邪魔になっている。悪循環を断って、大好きなリーディングを再開していくには、今後どうすればよいか、指針を得るために、タロットに相談することにした。
C・Tさん 60代 東京
A
(1)現状
現状 |
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①現状に出たのは、「悪魔」Rである。Tさんは、がんじがらめの状態で、小悪魔たちが中央の悪魔を仰ぎ見る姿を見て、今の自分を見せられる思いがした。今は体調が悪く、何かをしようと思っても体調がついてこないもどかしさがある。また、体調が悪いからか、引っ越し前の順調だった頃の幸運や栄光にしがみついて、「あの頃はうまくいっていたのに」と思ったり、それ以前の苦労を急に思い出して、心が締め付けられるように感じたりしている。まさに「悪魔」の逆向きで、Tさんは、自分の心がいろいろな思いに囚われてしまっていることに気づいた。これでは、前に進めないのは当然と、思わず納得した。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「隠者」Rで、Tさんは、隠者の視線が、現状の「悪魔」Rに向けられていることに目を留めた。隠者は、タロットを仕事にしてきたTさん自身である。Tさんは、東京へ引っ越ししてから、できるだけ早くタロットのリーディングを再開するつもりでいたが、それまで住んでいた沖縄とは勝手が違って、もたもたしているうちに、体調を崩してしまった。逆向きの隠者には、そんなTさんの途惑う様子や、早く再開したいと思いながら、体調を崩して体力が消耗し、とても何かを始められる元気な状態ではなかった状況がよくあらわれている。
(3)展望
③展望は「宙吊り」が出た。Tさんは、絵柄の言わんとすることがよくわかった。しばらくは、何かを始めようとすることより、自分の体調や心を整え安定した状態を維持できるようにすることが必要であると感じ取った。しっかり心身の充電を行えば、おのずと、本来の自分を取り戻し、新しい環境の中でも、自分のペースを保ちながら次に進む準備ができるにちがいない。
(4)
④「悪魔」Rの対策カードは「神の家」で、Tさんは、建物から外に身を乗り出す人の姿や建物の前で逆さになっている人の姿に注目した。沖縄に住んでいた時は、近所にチラシを配ったり、幟(のぼり)を立てたりすることで、タロットのリーディングの告知を行っていた。その時はそのやり方で順調だった。しかし、今、住んでいる地域では、以前使用していた幟を立てているだけで、チラシなど周囲に知ってもらう告知は、まだ行っていない。Tさんは、絵柄を見て、反応がないのは周囲に知られていないから。もっと周囲の人に知ってもらうための働きかけが必要、でも沖縄にいた時の成功体験を引きずった同じものではなく、今の地域にしっくりくる告知を考える必要があると思った。告知の仕方のヒントを得るためにも、実際に近所を歩いてみて雰囲気を掴むのも一案だろう。
(5)
⑤「隠者」Rの対策カードは「愚者」となった。Tさんは、愚者の姿を見て、前例や過去の成功体験を振り払い、新人のように真っ新な気持ちで取り組むもうと思った。まず自分自身が、愚者のように、夢や希望で輝いていることだ。そうした自分がもっと外に出かけ、その地域に馴染み、人々との出会いを広げれば、タロット・リーディング紹介もしやすくなるように思った。きっと、その地域にぴったりの広め方が見つけられるだろう。
アドバイスカードは「節制」。Tさんは、二つの壺を行き交う液体を見て、すぐに愛用しているエッセンシャル・オイルを思い浮かべた。まずは、オイルを使って体調を整え、もっと平静な心でいられるようにしなければと思った。元気になり落ち着いた心を取り戻せば、心の中にあるしがらみもなくなり、タロットの仕事再開に向けて踏み出せると確信が持てた。
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