Q
M氏はソーシャル・ワーカーとして、20年以上福祉活動に携わってきた。この仕事にやりがいを感じており、今は、この仕事に巡り合って本当に良かったと思っている。そんなM氏のもとに、ある大学から学生に向けて福祉活動についての講和をしてほしいと依頼があった。M氏は喜んで引き受けたものの、話したいことがたくさんあり、どうまとめていったらいいのか見当がつかないでいる。そこで話をどのように組み立て、まとめるのがよいか、タロットに助言を仰ぐことにした。
K・M氏 50代 東京
A
(1)現状
現状 |
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①現状には「教皇」が正立で出た。まさにM氏が学生に向けて講和をしている姿が、絵柄にあらわれている。教皇の視線に注目したM氏は、自分も未来を見据え、学生たちが未来に志を向けられるような話にするのがよいと思った。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯は「太陽」で、このカードも正立である。二人の人物が示唆するのは、今まで共に活動を行ってきた仲間である。M氏の脳裏には、これまでの諸々の活動のきっかけを作ってくれた先達方と自分が思い浮かんだ。頭上に輝く太陽は、先達方とともに掲げた理念、自分たちが目指した理想をあらわしているようだ。自分たちはそのもとで、活動に取り組んできた。M氏は、カードを見て、仲間とともに築き上げたかけがえのない経験があることを再確認する思いがした。
(3)展望
③展望は「宙吊り」で、現状の教皇が見つめるカードでもある。M氏は、宙吊りのポーズをとるこの人物が、動きを止めてあれこれ思案している様子を見て、これまでの自分の経験で培ってきた自分なりの考えや教訓を軸に話すのがよいと思った。学生たちも、教科書に載っているような一般論や業界で言われている通説ではなく、福祉活動に打ち込んできたM氏自身の考えを期待していると思われた。自分の思いを自分の言葉で話すことが大切なのだ。
アドバイスカードは「節制」。大きな翼を広げている姿を見て、M氏は、自分の行ってきた活動分野が幅広いものであること、またそうした経験の中で培ってきた確固たる力が、活動の原動力になっていることを思い起こした。この点についてもしっかり言及しながら、節制の天使が、一滴も水をこぼすことなく壷から壺へ移し替えている姿に倣って、素の自分のまま、何も付け加えず、等身大のソーシャル・ワーカーとして、自分の思いを伝えていくことにした。
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