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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第246回 年齢を気にしすぎる自分を何とかしたい

最新のケーススタディ 2015年11月10日号 掲載

Q. Tさんは、50歳で早期退職し、その後、両親の介護を約10年してきた。両親を無事見送ったら、隠者のようにひっそり余生を生きて行こうと心を決めていた。でも、いざ隠者暮らしを始めてみると、自分の思っていたのと何かが違う。これからどうするか悩んだ末、「自分一人で完結する人生で終わってはいけない、人に役立てるようなことをやろう」という気になり、昔かじったことのある易の勉強を始めた。手相やタロットにも興味を持ち、マルセイユ・タロットの勉強も始めた。60代になって勉強を始めたTさんは、年齢を意識しすぎるあまり、つい気持ちが先走るので、何事も取り組み方が性急になってしまう。焦るばかりの自分を何とかするために、タロットを展開することにした。

R・Tさん 60代 茨城

A.(1)

現状

現状に出た「隠者」Rカードから、Tさんの目に入ってきたのは、隠者のしわが刻まれた顔である。Tさんの心には、いつも「自分は年を取っている。残された時間は限られているのだから、早くしなければ。」と、焦る思いがある。そのために、できるだけ効率よく勉強して、一日も早く実践の場に立たなければと、自分を追い立てている。そんなTさんに、カードは、年齢を気にし過ぎですと指摘する。Tさんは、頭では、せっかちはよくないとわかっているつもりであったが、改めて、カードから、自分の過剰な年寄り意識が、問題を作り出していることに気づいた。

(2)
経緯 現状
 

経緯の「恋人」Rには、これまでのTさんの状況がよくあらわれている。人の役に立つために、占いや心の勉強をしようと思い立ったTさんは、どこの学校で何を学ぶといいのかあちこち探し、各学校のホームページを見て、散々迷ったのである。「時間が限られているのだから、たくさん手を出すわけにはいかない。自分に合ったものを選ばなければ・・・。でも、どれを選べばいいのか・・・。」調べるほどに、選択肢が増えすぎて、悩んだTさんの姿が浮かび上がる。

(3)
経緯 現状 展望
展望は「運命の輪」が出た。Tさんは、カードを見るなり、輪を抜け出て、安定した高いところにいるのが自分であるとすぐにわかった。輪にしがみつく二匹の動物は、自分のところにやって来てくれる人たちに違いない。絵柄を見ていると、Tさんには、輪の上に立つ自分が、運命の波に煽られ、翻弄されている人たちの役に立つべく、手を差し伸べようとしている姿に見えてくる。カードは正立なので、今の問題点を解決すれば、Tさんは、きっと自分の志を果たすだろう。Tさん自身も、展望に「運命の輪」が正立に出たことで、大いに勇気づけられた。

(4)
経緯 現状 展望
  (4)

「隠者」Rの対策カードは「世界」である。中央で楽しげに踊る裸の人物は、厚手の外套で身を包む「隠者」Rとは、対照的である。Tさんは、ハッとした。地上の人間の肉体に年齢はあっても、魂には年齢がないことに気づいたのだ。「世界」は、Tさんに、肉体の年齢に囚われて、汲々とするのではなく、もっと大きな視野で今の自分を位置づけましょうと、語りかける。はつらつとした魂を持つことに年齢は関係ない。Tさんも大きなゆったりした心で取り組んでいくことで、充実と喜びを感じることができる。

(5)

経緯 現状 展望
(5)  (4)

「世界」の注目カード兼「恋人」Rの対策カードは「審判」である。構図がよく似ているのに、人物の描き方は正反対である。この世的なことにばかり関心を向ける「恋人」Rではなく、「審判」のように、心の耳を澄まして天の声に耳を傾けてみることを勧めている。本当にすべきことがわかり、迷うことがなくなるに違いない。Tさんは、光芒が易で用いる筮竹に見え、生まれ変わった空色の人物からは、タロットを連想するという。いずれも、すでに勉強を始めたものである。当面は、これらのマスターに専念するとよいだろう。

アドバイスカードは「女帝」である。「女帝」は、せかせかしていない。心の中では今後に向けた予定を綿密に練っているが、悠然としている。心の目で見るべきものを見ているからであろう。カードは、Tさんに、「女帝」のようでありなさいと言う。タロットのおかげで、Tさんは、地上的なことに囚われすぎていたことを反省した。残された時間が限られているからこそ、ゆっくりでも丁寧に取り組んでいくことが、最善の道であると確信できた。これからは、うまくやっていけそうな気がしてきた。

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