本文へスキップ

イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第405回 職場の元先輩から、アート作品を譲り受けてよいものか。

  Q

Iさんの職場には、職場のOBであるA氏がよく遊びに来る。A氏は、現代アートの世界に専念したくて職場を早期退職した異色の存在である。ある時、話が盛り上がって、A氏は所有する作品の一枚をIさんに譲りたいと言い出した。Iさんは、高価な物をいただくことには抵抗があったが、「気持ちだけのものだから、ぜひ受け取ってほしい」との言葉に、職場の大先輩でもあるA氏の気持ちを思いやることも大切に思うようになってきた。ところが、その後、A氏は、「でも職場の上司には内緒にしておいてくださいね。」とも付け加えた。そう言われ、Iさんは本当に譲り受けてよいものか、ためらいも感じている。そこで、自分の心を整理すべく、タロットを展開することにした。

                                                                                                                                                                                                                              K・Iさん 50代 千葉

 

A

(1)現状
  現状
①現状に出たのは「正義」である。Iさんは、絵柄の人物は、現実を見て、バランスを取ろうとしている自分であると思った。Iさんは、大先輩A氏の気持ちを大切にしたいと思う一方、職場繫がりの人間関係で絶対に物の授受をしない今の上司ともずっと良好な関係を保っていきたいと願っている。潔癖な上司の性格は、かつて職場にいたA氏もよくご存知であるから、「内緒にしてほしい」と言われたこともわからないではない。Iさんにとって、難しい決断であるが、一番大切であるのは、バランスを取ること、バランス感覚だと痛感した。

(2)経緯
  経緯   現状
②経緯の「隠者」は、職場を早々に引退して、好きな現代アートの探求をしてきたA氏である。カードは正立なので、A氏は充実した探求生活を送り、その世界の素晴らしさがわかる人を探し求めてきたのだろうか。Iさんならわかってくれそうだと、思ったのかもしれない。

(3)展望
   経緯    現状    展望
③展望には「審判」が出た。Iさんは、地下の迷路から抜け出て、眼前に広がる新しい世界を見る空色の人物に注目した。絵柄を見ているうちに、A氏は、物としての作品を譲りたいのではなく、「作品と触れることで開ける新しい世界を知ってほしい、きっとその世界が新しい喜びをもたらしてくれるから」といった思いで言ってくれたのではないかと感じられてきた。ためらいがいつの間にか消え、Iさんは、譲り受けることに前向きになった。

(4)
     (4)    経緯    現状    展望
④「隠者」の注目カードは「悪魔」R。絵柄があらわすのは、職場の上司とIさん自身、同僚に違いない。上司は仕事への責任感が強く潔癖な性格の人である。その上司のもとで、Iさんと同僚は、上司を尊敬しながら、和気あいあいと仕事をしている。ときどき遊びに来る大先輩のA氏は、そんな職場の雰囲気や人間関係を知っているから、作品の授受が原因でせっかくの関係を乱すことはしたくないと気遣っているようだ。

(5)
  (4)    経緯    現状    展望
     (5)
⑤「悪魔」Rの対策カードは「神の家」である。Iさんは、建物の外にいる人物と、建物から身を乗り出す人物に目を留め、現代アートの話も、職場の外ですることであるから、職場と切り離して考えてもよいことなのだと気づいた。

アドバイスカードも「悪魔」で、小悪魔たちが手を後ろに隠していることから、Iさんの心は決まった。この度は、A氏の言うように、そっと作品をいただくことにした。そして、職場では、上司を中心にしっかり勤め上げて行こうと思った。

前回のケーススタディ

(第201回~最新号)

(第82回~第200回)