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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第362回 行き詰って占いの講師を辞めたが、良き選択だったろうか。

Q Sさんは、ある占い学の組織に所属し、講師の資格を活かして、自分の生徒に教えてきた。閉鎖的な組織で、前々から組織のあり方や、上の立場の先生から習う内容に疑問を感じることはあったが、相談できる人もなく、一人で悶々としてきた。そうした苦しさに加え、自身の体調がどんどんひどくなってきたことから限界を感じ、講座の途中ではあったが、辞める決意をした。生徒さんには申し訳ない思いで一杯であったが、幸い、残りの講座は上の立場の先生が引き継いでくださることになり、皆さんにかける迷惑を最小限にとどめることはできた。とはいうものの、Sさんは中途半端に辞めてしまったことへの罪悪感が拭えない。また、所属する組織では、自分のよからぬ噂がされているらしい。自分で決めたことなのに、後になって、本当にこれでよかったのか心配になってきた。「自分の選択は正しかっただろうか」、タロットの助言を仰ぐことにした。

                                                                                                                                                                                                                        K・Sさん 50代 東京

A

(1)現状
現状
①現状には「世界」Rが出た。Sさんは、このカードに、解放されたがっている自分の本当の気持ちと、それにもかかわらず、周りのことに囚われ自由になれない自分の姿を見た。周囲に描かれた生き物の中で、とりわけSさんの目に留まったのが獅子であった。すぐに自分の上の先生だと思った。自分がお世話になった先生ではあるが、何かと辛口で批判精神が旺盛なので、先生はご自身の講座でも、人や世界のネガティブな側面をよく取り上げられる。Sさんは、そんな先生に、心がついていけなくなってしまったのだ。かつて、Sさんにとって大きかった先生の存在はいつの間にか小さくなり、今では、周囲の一存在のように感じられる。カードは逆向きで、Sさんは、自分の苦しさが限界まで来ていたことを確認した。

(2)経緯
経緯 現状
②経緯は「宙吊り」Rで、Sさんはこの人物の足元の縄に着目し、組織につながれる自分のように感じた。占いの世界も多種多様に違いないが、たまたまSさんが所属していた組織は独特で、通常の会社では考えられないようなしがらみがあった。最初は占術を学びたい思いが強く、しがらみの窮屈さを感じるのは自分の未熟さが原因かもしれない、学び続けていけばいつか真髄がわかり、すべては問題でなくなるかもしれないという思いもあって、自分をつなぎとめてきた。このようなことを相談できる先輩もいなかったので、「もう少し、もう少しだけ頑張ろう」と自分に言い聞かせながら、ずるずる来てしまった。どうしようもなかったことだが、逆向きカードが示すように、やはり問題だったのだ。

(3)展望
経緯 現状 展望
③展望は「悪魔」Rで、Sさんには、中央の大悪魔が自分の先生に見え、自分は下でつながれている小悪魔に見えた。先生とは信頼や尊崇の念でつながるというよりは、先生の教えは絶対的で、鵜呑みにするばかりだった。疑問があっても質問できる状況ではなかったので、このままの関係が続いたなら、絵柄のように、ロープの巻き付きがどんどんきつくなり、ますます苦しくなっていくことは、容易に想像できる。また、Sさんは子どもの問題も抱えているが、これに関しても先生は否定的な見解なので、この点も、心の重荷のままだろう。Sさんには、逆向きの意味がよくわかった。

(4)
経緯 現状 展望
 
    (4)
④「世界」Rの対策カードは「愚者」である。身軽な装束で、上を向いて歩く愚者は、Sさんに、「しがらみから離れ、僕のように自由になるといいですよ。誰かの受け売りで、真実の道が見つかることはありません。顔を上に向け、自分の足で歩くことです」と語る。タロットのメッセージは、まさにSさんの決断を応援する内容で、Sさんは心が軽くなった。これでよかったのだと思うと、前向きになれそうな気がした。

(5)
経緯 現状 展望
   
    (4)      (5)
⑤「愚者」の注目カード兼「悪魔」Rの対策カードは「戦車」。Sさんには、戦車に乗った人物が、堂々としているように見えた。「悪魔」Rの小悪魔のように、誰かに依存したり、占いに頼ったりしながら生きるのではなく、自分自身の人生の主人公として生きていくこと、人生の当事者としての自分を立て直すことが大切だと思った。そのためにも、これからは、後ろ暗い気持ちを引きずって何かをするのではなく、自信や誇りを持てるようなことを見つけようと思った。

(6)
経緯 現状 展望
     
    (6)     (4)      (5)
⑥「宙吊り」Rの対策カード「女帝」では、羽のように見える玉座が、Sさんの目をとらえた。「宙吊り」Rと対照的に、自由に羽ばたける翼を持っている点に心が動いた。これまでは、「この宿命の人はこういう風に生きないといけない」、「この時期にこういうことをしてはいけない」と言われることを、いちいち気にしてきたが、自分がすべきは、内面につばさをつけ、つながれた状態から上に飛び立てるようにすることだと思えた。そのためには、女帝のようにどっしり構えて、じっくり物事を洞察する力を磨くことだ。

アドバイスカードは「皇帝」である。Sさんは、いままでの展開で、講師を辞めたことは自分の人生にとって良かっのだと、心から思えた。しかし、まだ引き継ぎや、雑務などは残っている。体調のことや家庭内の心配事もある。「皇帝」は、そんなSさんに、一度に全部やろうとしないで、できることから1つずつ、現実的に対処していけば大丈夫と、助言する。Sさんは、周りの噂や自分の罪悪感に惑わされず、引継ぎにすべきことだけをやろうと思った。「世界」Rや「宙吊り」Rに描かれていた木星記号が「皇帝」にもあることに気づいたSさんは、「こういう風に生きなければならない」という考え方から、「のびのびと自分らしく生きていく」ことを大切にしようと思った。また、卵が描かれたカードが多いことも印象に残ったことで、自分の可能性や考えや想いを育てていくことが強調されていると思った。抱えている問題はたくさんあるけれど、それ以上に希望の卵もあると確信できた。そういう人生を自らつくりだしていこうと、心が決まった。

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