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イシス学院は、カバラー、タロット、アストロロジー、アロマテラピーという形で現代に伝わる古代密儀の伝統を学ぶ魂の学校です。

第292回 わがままな母親に手を焼く。どうしたらよいか。

S氏の母親は、S氏の自宅から車で10分もかからないところで、独り暮らしをしている。10数年前、夫に先立たれた母親は、ひとり息子のS氏と一緒に暮らしていたが、S氏の結婚を機に、独り暮らしを始めたのである。もうすぐ81歳、独り暮らしも8年になる。

M・Sさん 50代 神奈川

A.

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現状

現状は「世界」Rが出た。S氏には、中央で踊る人物を見守る四方の生き物が、「あれをしてくれ、これをしてくれ」とせがむ母親(中央の人物)に、一人で何役もこなしながら仕える自分の姿のように見えた。S氏は、たった一人の息子としてできることは何でもやり、最大限の努力をしてきた。そのために、妻や小学生の子供との団らんの時間もずいぶん犠牲にしてきた。しかし、母親はS氏の気持ちがわかっていないようだ。わがままを言っても、息子ならやって当たり前くらいに思っているのかもしれない。S氏には、母親を取り囲むリースが、自分の気持ちを跳ね返す強固な壁に感じられる。カードは逆向きなので、この状態は問題であると告げる。S氏も、頭ではわかるが、心の中では強烈な母親にお手上げ状態である。

(2)
経緯 現状

経緯の「斎宮」Rも、S氏の母親である。母親は、独りであれこれ考えを巡らせ、自分の考えを決して曲げない。その頑固さに、S氏はこれまで何度腹を立ててきたかしれない。その都度、S氏が折れて、母親に合わせる努力をしてきた。同じことが何度も繰り返され、ほとほと嫌になったというのが、S氏の率直な気持ちである。困ったことであるが、年老いた母親の頑固さは、S氏や周囲の者が注意してもどうにもならないことは、容易に想像できる。

(3)
経緯 現状 展望

展望は「正義」で、大きな剣や正面を見据える視線から、S氏にとっては、しばらく厳しい状況が続きそうである。しかし、カードは正立であるので、これまでの一方的に振り回されて激怒してきた母親との関係は 、徐々にバランスを回復しそうである。

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経緯 現状 展望
(4)

「世界」Rの対策カードは「悪魔」である。大悪魔が母親で、二人の小悪魔はS氏と妻であろうか。小悪魔は大悪魔と緩く繋がっている。タロットは、S氏に、どんな腹立たしいことがあっても、関係を断ち切ってしまってはいけない、かわりに、もっとゆとりを持てる距離、母親に怒りや憎しみを感じなくてもすむ距離(できれば肯定的な気持ちを持てる距離)で、関わるようにしてはどうかと助言する。今までは、すべての要求に応えることが親孝行になると思って頑張ってきたS氏であるが、密に関わりすぎたかもしれない。時には、小悪魔のように、母親の言い分を聞きながらも手は出さないことがあってもよいのではないか。真面目なS氏は、すぐ小悪魔のように振舞えるわけではないが、少しずつならできるかもしれないと思えた。

(5)

経緯 現状 展望
(5) (4)

経緯の対策カード「愚者」も気負わず、のんびり旅を続ける人の姿である。母親のために真摯に向き合い疲れ果ててしまったS氏に、タロットは、ゆっくり自分のペースで関わればいいと語りかける。義務感に駆られて母親のところに出かけるではなく、会いたくてS氏の方からいそいそと出かけられるようになれば理想的であろう。といっても、やはりすぐには難しいので、まずは、否定的な感情を持たなくて済むくらいのペースから始めてはどうだろう。

アドバイスカードは「隠者」である。灯りを掲げて、そっと見守る「隠者」の姿そのものが、S氏への助言である。母親を疎遠にして放っておくのではなく、気にかけながらも少し距離を置いたところから見守るようにしていくとよいだろう。S氏は、妻と協力して、程よい距離での向き合い方を探っていく心づもりがなんとかできた。

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