Q
Aさんは、ずっと母親と二人で暮らしてきた。もともと仲はあまり良くなかったが、二人とも仕事をしていることや、Aさんの仕事がシフト制のため、在宅時間帯が不規則であることも幸いして、二人の関係は何とか納まっていた。ところが、春先になってから、母親は機嫌の悪い時が多くなり、特にお酒を飲むと、人が変わったようにAさんにつらく当たるようになってしまった。最初は気にしないでいたAさんも、ついに限界を感じ、実家を出ることにした。しかし、急な出来事で、引っ越し先はすぐには見つからない。長年の友人に相談したところ、なんとその友人はAさんに、「よかったら、うちに来れば?」と、提案してくれた。そして、寛大な友人はAさんに合鍵を渡し、自由にしていいと言ってくれたのである。Aさんにとって、とてもありがたい配慮で、感謝しかないが、心の奥で、友人の優しさに甘えすぎていないかと気にする自分もいる。そこでこのまま厚意を受けてよいか、心を整理すべく、タロットに相談することにした。
N・Aさん 50代 千葉
A
(1)現状
現状 |
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①現状には、「愚者」が正立で出た。まさにAさんが家を出て、友人宅に向かう場面が描かれている。最小限のものを詰め込んだ小さな荷物を持っていることから、急に決まったことで、とりあえず当面必要なものだけを詰め込んで、家を出ざるを得なかった様子が窺われる。カードは正立なので、この度、Aさんがとった行動はよかったと言えそうだ。
(2)経緯
経緯 |
現状 |
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②経緯に出たのは「神の家」である。Aさんは、カードに描かれた高層の建物を見て、友人宅のマンションであると、すぐにわかった。Aさんと友人は、長年の親密な付き合いがあるので、Aさんも、友人の家の中を熟知している。カードの二人の人物は、Aさんと友人で、ひっくり返っている人物が、母親のことで深く傷つきショックを引きずるAさん、建物から身を乗り出し、Aさんを温かく迎え入れようとしている人物が友人である。このカードも正立で、Aさんは、友人に相談し、友人の厚意を受けることにして正解だったのだと安心した。
(3)展望
③展望は「斎宮」で、Aさんは、友人の人柄をよくあらわしていると感じた。斎宮からは、静かにすべてを理解し受け入れる包容力や思慮深さが感じられるが、友人もそうだ。この度のことも、ただその場限りの軽い気持ちで声をかけてくれたというよりは、Aさんの置かれている状況やAさんの心の内を思い遣っての対応なのかもしれない。Aさんは、正立の「斎宮」をじっと見ているうちに、自分を丸ごと受け入れ、静かに見守ってくれる友人に感謝するとともに、落ち着くまで友人の厚意に甘えさせてもらっていいのだと思えてきた。
アドバイスカードは「月」で、Aさんは、建物が二つ描かれていることに注目した。すぐにピンときた。Aさんが実家を出てから、Aさんの母親は一人で暮らしている。今は、元気に仕事をしているが、高齢(70歳半ば)になってからいきなり始まった母親の一人暮らしは、いつまで続くことだろう。Aさんの妹や弟はそれぞれ独立しているので、母親に何かあれば、まず長女のAさんが駆けつけなければならない。そう考えると、しばらくは友人の家にお世話になり、自分を立て直しながら、実家のことにも注意を払うようにするのが一番いいようだ。Aさんは心が軽くなり、素直な心で友人の厚意を受けることにした。タロットに相談して本当に良かったと思った。
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